【健康診断項目】糖尿病と言えば「HbA1c(NGSP)」

HbA1c(NGSP)とは?
HbA1c(ヘモグロビンA1c)とは、血液中に含まれる糖化ヘモグロビンの割合を示す指標です。この値は、糖化ヘモグロビンの量をヘモグロビンの総量で割って算出されます。
血液中のヘモグロビンは、血中のブドウ糖と結合すると「糖化ヘモグロビン」になります。ヘモグロビンの寿命は約120日と長いため、一時的な食事による血糖値の変動に影響されず、過去1~2か月間の血糖コントロールの状態を反映します。
HbA1cの値が高い場合、血糖値が持続的に高い状態であることが考えられ、糖尿病の診断や管理に役立てられます。
HbA1c(JDS)からHbA1c(NGSP)へ変更
HbA1cの基準値は、元々日本独自のJDSを使用していました。しかし、2012年4月から「NGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program 全米グリコヘモグロビン標準化プログラム)」へ表記を変更しています。
健康診断の血液検査で記載されているHbA1cはNGSP基準です。
換算は以下の式で行えます。
- HbA1c(JDS)=HbA1c(NGSP)×0.98ー0.245
正常値と異常値
HbA1c(NGSP)の正常値と異常値について、下記の表でまとめました。
正常値 | 要注意 | 異常値 | |
HbA1c(NGSP) | 5.5%未満 | 5.6~6.4% | 6.5%以上 |
特定検診ではHbA1c(NGSP)数値は5.6%以上が高血糖の基準としています。*1
異常値が出たからといってすぐに糖尿病や他の疾患だと診断されるわけではありませんが、高い数値が続いてしまうと糖尿病のリスクが高まります。
健康診断で異常値が出てしまった場合は、早めに医療機関を受診しましょう。正常値化するように生活習慣を見直すことで、HbA1c(NGSP)の数値は改善されます。
異常値だとどうなる?
HbA1c(NGSP)の数値が高いということは、血液中の血糖値が高い状態が続いていることを意味します。血糖値が高いと、血管にダメージを与え、動脈硬化を引き起こす可能性があります。動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める原因となります。
さらに、HbA1cの値が長期間高い状態が続くと、糖尿病を発症している可能性が高くなります。この場合、空腹時血糖値(FPG)と併せて診断されます。
糖尿病は初期にはほとんど症状が現れないため、自覚しにくい病気です。しかし、放置すると、糖尿病の三大合併症である糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害を引き起こすリスクが高まります。そのため、早期の発見と対応が重要です。
異常値が出た場合は、できるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。
異常値の原因は?
HbA1c(NGSP)が異常値になってしまう原因は、糖尿病と食生活の乱れの2つです。
それぞれの原因について詳しく解説します。
糖尿病になるとHbA1c(NGSP)が異常値になる
血液中のブドウ糖は、すい臓で作られるインスリンによって分解され、他の細胞へと運ばれます。すい臓で作られるインスリンの量が極端に少なくなったり、インスリン自体が効かなくなる疾患が糖尿病です。インスリンが機能しなくなっているため、結果的に血糖値が高い状態が続いてしまいHbA1c(NGSP)が異常値になりやすいです。
糖尿病は初期症状がないため、気づきにくい疾患です。そのため、隠れ糖尿病となっていて、インスリンの機能が低下しHbA1c(NGSP)が異常値になっている可能性があります。
食生活の乱れ
HbA1c(NGSP)は、血液中の糖化ヘモグロビンの数の割合です。食生活が乱れ、糖質の多い食事などをとっている場合はHbA1c(NGSP)の数値が一時的に高く出てしまうこともあります。
特に、砂糖の入った飲み物をよく飲む人や、過食で1日の摂取エネルギーが多い人はHbA1c(NGSP)の数値が高く出やすいです。
食生活を改善し、日常的に運動を行うなど生活習慣を改善することでHbA1c(NGSP)の数値を下げられます。
正常値でいるために
HbA1c(NGSP)を正常値にするために、厚生労働省から以下の行動が推奨されています。
- 適正カロリーの食事にする
- 週に2~3回運動をする
- アルコールをとりすぎない
- たばこを吸わない
- 野菜、海藻、きのこなどを積極的に食べる
また、糖化ヘモグロビンの寿命は120日なので、2ヵ月以上正しい生活を行わないとHbA1c(NGSP)の数値を正常化させられません。
上記に挙げた行動を長期的に行うことで、HbA1c(NGSP)の数値を正常化させられるでしょう。