肺がん

【肺がん】要注意健康診断項目とその他の検査法

kitano

肺がんに関連する健康診断項目

肺がんに関連する健康診断項目は「胸部X線検査」「BMI」です。

胸部X線検査は、肺に異常がないかを確認するためにX線を使用して撮影する検査です。

X線は体内を通るとき、組織の硬さや柔らかさ、空気や水分の多さによって通り方が変わります。

例えば、骨のように硬い部分ではX線はほとんど通らず白く映りますが、肺のように空気を多く含む部分ではX線が通りやすく黒く映ります。

この性質を利用して、体の中の状態を画像で確認することができます。

X線を体に照射し、組織による吸収の違いを利用して肺の内部構造を画像として映し出します。

胸部X線検査は、体を直立させ、背中や胸部を撮影機器に密着させた状態で撮影を行います。

肺の形状や異常の位置を鮮明に写すため、息を深く吸い込んで止めた状態で撮影されることが一般的です。

肺の状態や異常の有無をチェックし、がんの兆候となる影や結節を発見することが可能です。

また、肥満度を表すBMIは、がんなどの生活習慣病のリスクを高めます。BMIが基準値を超える場合は、食生活や運動習慣の見直しが推奨されます。

各健康診断項目の正常値と異常値

胸部X線検査は数値が現れるわけではないので、医師による所見が判断の基準となります。

正常な胸部X線画像の特徴

正常な肺は左右ほぼ均等に黒っぽく写ります。

  • 肺野の透過性:正常な肺は空気を多く含むため、X線写真上では黒く写ります
  • 心陰影の形状:心臓の影は明瞭で、周囲の構造物との境界が鮮明です
  • 横隔膜の位置:通常、右側が若干高い位置にあります
  • 血管陰影:肺血管の影が明瞭に見えます

肺がんを示す胸部X線画像の特徴

肺がんの可能性がある場合、その部位が白っぽく写る可能性があります

  • 結節影:直径3cm以下の丸に近い形をした白い影として現れます
  • 腫瘤影:直径3cm以上の大きな白い影として見られます
  • 浸潤影:ぼやけた影として現れ、周囲の組織との境界が不明瞭です
  • 空洞影:肺内に空洞が形成されている状態で、特に扁平上皮がんなどで見られます
  • スリガラス陰影:もやがかかったスリガラス上の陰影で初期の腺がんなどで見られます
  • 肺野の透過性の変化:腫瘍による圧迫や浸潤により、透過性が低下し白っぽく写ります
  • シルエットサイン:腫瘍が心臓や横隔膜に接触していると、境界がぼやけて見えます

胸部X線についてもっと詳しく

BMI

BMI(体重[kg] ÷ 身長[m]²)は、肥満や痩せすぎを判断する指標です。体格を表す指標として国際的に用いられています。適切な体重を維持することは健康を守るために重要です。

正常値異常値(肥満の目安)
18.5〜24.925以上

参照元:厚生労働省e-ヘルスネット

BMIについてもっと詳しく

その他の検査

肺がんでは、胸部X線以外に以下のような検査が行われることがあります。

  • 血液検査
  • 喀痰細胞診
  • CT検査
  • PET-CT検査
  • MRI検査
  • 骨シンチグラフィ
  • 気管支鏡検査・生検
  • 胸腔鏡検査
  • 経皮的針生検

この検査でわかること

  • 血液検査

血液検査では、体内の健康状態やがんの兆候を評価するために血液の成分を調べます。

白血球数(WBC)は、肺がんの進行状況や治療の影響によって増減することがあります。
一方、赤血球数(RBC)やヘモグロビン濃度(Hb)は、肺がんの進行に伴う貧血の影響で低下する傾向があります。
また、腫瘍マーカーではCEAやCYFRA21-1などの数値を測定し、がんの存在や進行度を評価します。

  • 喀痰細胞診

痰に含まれる細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無を確認する検査です。
特に肺門部のがんの検出に有効で、喫煙歴のある50歳以上の人や血痰の経験を持つ人が対象となります。

  • CT検査

X線を使用して体の断面画像を作成し、肺の詳細な状態を評価します。
小さながんや異常も発見できるため、早期診断に有効です。

  • PET-CT検査

PET-CTではがん細胞に集まりやすい薬剤を注入してCTを撮影し、がん細胞が多い部分を画像で認識する検査です。
腫瘍の位置や転移の有無を高精度で確認でき、全身を一度に調べられるため、原発不明のがんや再発の診断にも有用です。

  • MRI検査

主に脳や骨への転移を確認するために使用されます。
磁気を使用して撮影するため放射線被ばくがないため安全性が高いですが、肺自体の描出にはCTより劣ります。

  • 骨シンチグラフィ

放射性同位元素を用いて骨転移を診断する検査です。
全身の骨を一度に調べられ、早期の骨転移発見に役立ちます。

  • 気管支鏡検査・生検

局所麻酔下で内視鏡を用いて気道や肺の内部を直接観察し、組織を採取する方法です。
がん細胞の有無を確定診断するために重要です。

  • 胸腔鏡検査

胸腔内に内視鏡を挿入し、肺や胸膜、リンパ節の組織を直接観察・採取する手法です。
気管支鏡で診断がつかない場合や、病変が気管支鏡でアクセスできない位置にある場合におこなわれます。

  • 経皮的針生検

体表から細い針を刺入し、CTガイド下で病変部位から細胞や組織を採取する方法です。
肺の末端にある病変の診断に有効です。

この検査はどこで受ける?

胸部X線検査や腫瘍マーカー検査はがん検診センターや人間ドックで受けられます。

詳しい肺がんの検査を受けるためには近くの内科を受診し、必要に応じて専門病院を紹介してもらう必要があります。

がん診療連携拠点病院や総合病院、呼吸器専門のクリニックなど、CTやPET-CT、MRIなどの専門設備が整った医療機関が推奨です。

気になる症状がなくても定期的な健康診断を受け、異常が指摘された場合は速やかに検査を受けることが大切です。

参照文献

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