乳がん

【健康診断項目】X線で乳がんを見つける「マンモグラフィー」

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マンモグラフィーとは?

マンモグラフィーは、乳がんを早く見つけるために乳房をX線で撮影する検査です。40歳以上の女性が受けることをすすめられていて、使われる放射線の量はとても少ないので体への影響はほとんどありません。

ただし、妊娠中や授乳中の人は、医師と相談してから受けるかどうかを決める必要があります。

検査中は乳房を少し押さえて撮影します。このとき、少し痛みを感じることもありますが、乳がんを正確に見つけるために必要な手順です。

マンモグラフィーは、特に乳がんを早く見つけるのに役立つ検査として、多くの人が受けています。

正常値と異常値

マンモグラフィーの結果は、「カテゴリー」という5つの分類で評価されます。

カテゴリー判定
カテゴリー1異常なし
カテゴリー2良性
カテゴリー3良性かもしれないが、悪性の可能性もある
カテゴリー4悪性の可能性あり
カテゴリー5悪性の可能性が非常に高い

参照:日本人間ドック学会「乳房検診判定マニュアル」

また、マンモグラフィーでは、「石灰化」というカルシウムのかたまりや、「腫瘤(しこり)」が見つかることがあります。それらがどう見えるかによって、がんの可能性を判断します。

所見説明
石灰化(せっかいか)乳房の中にカルシウムがたまってできる小さな粒のことです。がんではない場合(良性)もあれば、乳がんの初期に見られる場合(悪性)もあります。粒の大きさや広がり方で、良性か悪性かを判断します。
腫瘤(しゅりゅう)マンモグラフィーで乳房の中に映る白い塊の影のことです。がんではない場合(良性)もありますが、形や境界線の様子で乳がんの可能性があるかどうかを調べます。見つかった場合は、超音波や細胞の検査を行うことがあります。
局所的非対称性陰影(FAD)左右の乳房を比べたときに片方だけ影が強く見える状態のことです。影の下に腫瘤(しこり)が隠れている場合があり、さらに詳しい検査が必要になることがあります。

これらの所見が見つかった場合でも、必ず乳がんとは限らないため、詳しい検査で確かめることが大切です。

異常値だとどうなる?

マンモグラフィーの結果が「カテゴリー3」以上の場合、もっと詳しい検査が必要になります。1たとえば、「石灰化」と呼ばれる小さな白い点が映ることがありますが、これは良性(がんではない)から悪性(がん)のものまでいろいろです。

特に、小さな石灰化がたくさん集まっている場合は、乳がんの可能性があるので、追加検査を受ける必要があります。

デンスブレストという状態では、乳房の密度が高いため、マンモグラフィーだけでは異常を見つけにくいことがあります。これは40歳未満の若い女性によく見られる特徴で、X線では乳腺が白く映り、しこりなどが隠れることがあります。

この場合は、超音波検査(エコー)を組み合わせて調べることが一般的です。

もし異常が確認されたら、さらに詳しい検査(細胞を調べる検査や組織を取る検査)が行われます。これにより、がんがあるかどうかを確定し、早く治療を始められるようになります。

異常値の原因は?

マンモグラフィーで異常が見つかるのには、次のような理由があります。

石灰化(せっかいか)の蓄積

乳房の中にカルシウムがたまることで起こる現象です。

これを「石灰化」といいます。石灰化は体の自然な変化(良性)であることが多いですが、乳がんの初期症状(悪性)として見られる場合もあります。石灰化がたくさん見つかる場合は注意が必要です。

生活習慣の影響

食生活やホルモンのバランスが乳房に影響を与えることがあります。たとえば、次のような生活習慣が乳がんのリスクを高めることが知られています。

  • 肥満
  • 喫煙
  • 不健康な食事(野菜や果物が少なく、高カロリーな食事)

このような要因がマンモグラフィーでの異常所見の原因となり得ますが、異常が確認された場合でも、必ずしも乳がんを意味するわけではありません。

医師に相談して、適切な精密検査を受けることが重要です。

正常値でいるために

マンモグラフィー検査で「異常なし」の状態を保つためには、普段の生活で次のことを意識するのが大切です。

定期的に検査を受ける

40歳以上の女性は、2年に1回マンモグラフィーを受けることがすすめられています。

乳がんは早く見つけるほど治療が成功しやすいので、定期的に検査を受けましょう。
また、家族に乳がんの人がいる場合は、遺伝的なリスクが高い可能性があるので、若い年齢から検査を始めることが大事です。

生活習慣を見直す

健康的な生活を心がけると、乳がんのリスクを下げることができます。

  • バランスの良い食事:野菜や果物をたくさん食べて、脂っこいものを控える。
  • 適度な運動: ウォーキングや軽い運動を続ける。
  • タバコを吸わない:喫煙は乳がんのリスクを高めるのでやめましょう。
  • お酒を飲みすぎない: 飲酒もリスクになるのでほどほどに。

セルフチェックをする

マンモグラフィー検査だけでなく、自分で乳房をチェックする習慣をつけましょう。

  • しこりがないか
  • 乳頭からの分泌物がないか
  • 皮膚のくぼみや引きつれがないか

もし気になることがあれば、すぐに医師に相談することが大切です。

参考文献

  1. *1 日本予防医学協会「乳がん検査」 ↩︎
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