健康診断項目

【健康診断項目】高すぎても低すぎてもよくない血色素量(Hb)

明木戸

血色素量(Hb)とは?

血色素量(Hb)とは、血液中に含まれるヘモグロビンの数のことです。ヘモグロビンとは、赤血球中にある赤色の成分のことで、酸素を運ぶ働きがあります。鉄(ヘム)とタンパク質(グロビン)が結合して血色素(ヘモグロビン)と呼んでいます。血液検査によって血色素量(Hb)を調べられます。

ヘモグロビンは、酸素が多い部分では酸素と結合し、酸素が少ないところでは酸素を離すという特性を持っています。主に酸素と結合し全身に酸素を行き渡らせる役割があるため、血色素量(Hb)は多すぎても少なすぎても体によくありません。ヘモグロビンが多すぎる血液を多血、ヘモグロビンが少なすぎる血液を貧血と呼んでいます。

多血や貧血は悪化するとめまい、息切れ、頭痛、疲労感などの症状が現れます。しかし、それらの症状が血色素量(Hb)の異常によるものだとわからず、原因不明の症状に悩ませている人も少なくありません。

健康管理のために重要な項目なので、健康診断にも含まれています。

正常値と異常値

血色素量(Hb)の正常値と異常値は以下の通りです。

異常要注意基準範囲要注意異常
男性12.0g/dl以下12.1-13.0g/dl13.1-16.3g/dl16.4-18.0g/dl18.1g/dl以上
女性11.0g/dl下11.1-12.0g/dl12.1-14.5g/dl14.6-16.0g/dl16.1g/dl以上
出典:公益社団法人日本人間ドック学会

血色素量(Hb)は高すぎても低すぎても異常値となります。

異常値だとどうなる?

血色素量(Hb)が異常値だった場合は、以下の通りです。

血色素量(Hb)が高すぎる場合

血色素量(Hb)が高すぎる場合、血液の濃度が高い状態になっています。粘度が高く、ドロドロしている血液になっているため、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす原因となります。

高値異常が続くと、以下のような体の異変が出ることがあります。

  • めまい
  • 息切れ
  • 頭痛
  • 疲労感
  • 手足のしびれ
  • 腕や足のむくみ

初期症状では気づきにくい体の異変が多いです。高値異常が続く場合は「多血症」や「脱水症」の可能性があります。

血色素量(Hb)が低い場合

血色素量(Hb)が低値異常の場合、血液の濃度が低くなっている、いわゆる貧血状態です。鉄分が不足していてヘモグロビンの生成が追い付いていないことが主な原因です。男性は12.0g/dl以下、女性は11.0g/dl下で異常となりますが、この数値では自覚症状はほとんど現れていないでしょう。

ただし、貧血状態が続いていると全身に酸素が行き渡らなくなるため、以下のような症状がみられることがあります。

  • 頭痛
  • だるさ
  • 肩コリ
  • 息切れ
  • めまい

異常値の原因は?

血色素量(Hb)の異常値の原因は、以下の通りです。

血色素量(Hb)高値異常の原因

血色素量(Hb)の高値異常は、「多血症」や「脱水症」の可能性があります。

多血症は、ヘモグロビンの数が過剰に増えてしまう疾患のことです。喫煙や睡眠時無呼吸症候群など、低酸素状態が続いていると体全体に酸素を送ろうとヘモグロビンを多量に生成します。そのため、血液中の血色素量(Hb)が増え、高値異常につながります。

低酸素状態になる原因には、以下のようなものがあります。

  • 高山病
  • 喫煙
  • 肺疾患
  • 睡眠時無呼吸症候群

それ以外にも、腎臓疾患を抱えていると血色素量(Hb)が増えます。赤血球を作るエリスロポエチンというホルモンは腎臓で作られているため、分泌がうまくいかず、ヘモグロビンの数だけが増えてしまいます。このような状態も多血症のひとつとして扱われます。

脱水症は、体の水分が減ってしまっていて血液の濃度が高くなっている状態のことです。こまめな水分補給で解決します。

血色素量(Hb)低値異常の原因

血色素量(Hb)が低値異常の原因は、体内の鉄分が不足です。へモグロビンの主成分は鉄とタンパク質なので、食生活の乱れなどで栄養素が不足していると、ヘモグロビンを生成できなくなってしまいます。

鉄欠乏性貧血、慢性出血性貧血などの疾患を抱えている可能性もありますが、食生活によって鉄分が不足していることがほとんどです。

正常値でいるために

血色素量(Hb)の正常値でいるためには、以下のような対応が必要です。

栄養バランスの良い食事を心がける

ヘモグロビンが作られるためには、1日に必要な鉄分を摂取する必要があります。男性は7.5mg、女性は10.5mgの鉄分摂取が推奨されています1。また、血色素量(Hb)の主成分であるタンパク質や、鉄分の吸収を助けるビタミンCも同時に食べるとより効果的です。

バランスの良い食事を心がけることで、正常値に近づいていくでしょう。

適度な運動と十分な睡眠を心がける

運動をすると血液の循環がよくなります。血液の生成も行うためヘモグロビンの数が整いやすいです。また、眠っているときにヘモグロビンが積極的に作られるため、十分な睡眠も効果的です。

原因となる病気の治療

血色素量(Hb)の異常値には、いくつかの疾患の可能性があります。血色素量(Hb)異常は日常生活では気づきにくいですが、異常値が続く場合は医療機関を受診し病気の治療することで、数値回復につながります。

参考文献

  1. *1 厚生労働省「貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう」 ↩︎

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